身長を伸ばすための食生活~高タンパク質・高カルシウム・低カロリー でも触れた「ビタミンD」は、小腸でのカルシウム吸収を促し、幼少時から発育期にかけての骨や歯の形成と、その発育を促します。
ビタミンDは乳製品・大豆製品・小魚類などの食べ物を通じ、あるいは日光からの紫外線によって、体内で合成されます。
しかしビタミンDの合成は、食べ物の摂取は全体の1割程度しか貢献しないとも言われ、そのほとんどが皮膚を通した紫外線の吸収を通じて行われます。
やはり子供の骨を健全に発達させるには、屋外で一定時間遊ばせる時間を作るなどして、日光(紫外線)を肌に浴びる時間を作ることが、どうしても必要になります。
最近、紫外線は皮膚の老化や炎症を進行させるとして大人・子供を問わず避けられる傾向にありますし、夏場に直射日光のもと子供を長時間戸外に出しておくのは熱中症の心配もあり、確かにマイナス面も大きそうです。
過ぎたるは及ばざるが如しということは、確かにあるでしょう。
ただし子供がゲームや塾での勉強など室内で費やす時間も長くなっており、外で子供らしく友達と遊ぶ時間が少なくなっているのは、身長や骨格など子供の身体的成長という面に限って言えば、やはり憂慮すべき事態です。
一年を通じると、たとえば北国では冬は紫外線の照射量そのものが不足しがちであり、寒い時期はどうしても外に出なくなりがちです。したがって「子供のくる病」は、主に北国の幼児に起こりがちな病気と言われてきました。
しかし最近は屋外に子供を長時間置いておくことを避ける家庭が多くなり、紫外線の照射不足によって子供のくる病は「全国的に」増加傾向にあるという報告がでてきています。
くる病は子どもの骨だけに発生する病気で、骨の成長が鈍ったり軟化したりすることによって足の骨が変形、O脚が進みます。
乳幼児だけの病気というイメージがありますが、5~6歳位迄かかりうる病気です。
くる病の最大の原因は、ビタミンDの合成が進まないことからくる代謝障害にあるとされます。
くる病になってしまった場合、治療としてビタミンDの服用、あるいは身長の伸びを促すための成長ホルモンの投与などを行なうことになりますが、もちろん子供の健全な発育のためにも、予防的に対処することが必要です。
対策として、まずは一定時間(少なくとも30~1時間程度)、天気のいい日に戸外で日光(紫外線)を適度に浴びるかたちで遊ばせること、そしてビタミンDを含んだ食べ物を、幼児期から成長期にかけて積極的に摂らせることがポイントになります。
子供の身長の伸びを促すという点からは、ビタミンDにあわせてカルシウムやたんぱく質も、食事からバランスよく摂取することが大事です。
ちなみにビタミンDの摂り過ぎによる高カルシウム血症などの過剰症のリスクは、サプリメントなどによる大量摂取を長期間続けない限り、ほとんど無いとされます。
なお「年齢別のビタミンD摂取量の基準」および「ビタミンDを多く含む食べ物」については、以下をご参照ください。
ビタミンDの食事摂取基準(骨系統疾患コミュニティサイト)
ポイントは、子供の身長の伸びに大きな影響を与えるビタミンD合成を促すには、食事だけ改善しても片手落ちであり、戸外である程度日光(紫外線)にあたることのほうがより重要である、ということです。
ただしこれは「身長」に限った話で、たとえば「アトピー肌のために紫外線でかぶれやすい」「食物アレルギーがある」「日中は親が仕事で不在のため、子供だけを長時間外で遊ばせる環境にない」といった、個々の家庭の事情に応じた派生的な問題もさまざまにあるでしょう。
そのため子供を日光浴させるのが難しい、しかし子供の低身長は気になるという場合には、まずは専門の小児科医を訪れ、日常生活上具体的にどう対応すべきかを相談してみることをおすすめします。