俗に「寝る子は育つ」といいますが、これは子供の成長にとっての真実です。
身長を伸ばすのに必要な成長ホルモンは、寝ている夜間に多く分泌されます。
しかも眠りが深いときのほうが、成長ホルモンの分泌が多いということもわかっています。
子供の睡眠時間が短いということは、その成長ホルモンの分泌をストレートに妨げていることになるわけです。
また間接的な理由として、日中は立ちっぱなしで活動するため、骨には縦方向に重力がかかっているわけですが、夜に数時間横になることで骨にかかる圧力を開放するという効果もあります。
しかしそれにも関わらず、日本の子供たちの睡眠時間は非常に低く、また年々減少傾向にあるという調査結果があります。
世界の子供たちの平均睡眠時間については9時間以上という国が多いのに対して、日本の子どもたちの睡眠時間は、小学校高学年の平均で8時間未満が3割を超えているという結果も出ています。
また夜遅くまでの塾通いやテレビゲームのやり過ぎなどで、眠る時間そのものもが不規則になる傾向も強まっています。
これでは、成長ホルモンの分泌どころの話ではありません。
小学校の低学年ぐらいまでは、理想的には10時間程度の睡眠が必要です。
しかも、寝る時間を一定にして、ぐっすり眠れるようにリラックスした睡眠環境を整えておくことも必要でしょう。
また寝る時間を一定にすることで、起きる時間、そして朝食の時間もほぼ自動的に決まってきますので、子供の一日の生活習慣を規則正しいリズムあるものに整えていくという間接的な効果も期待できます。
思春期を迎える真っただ中となる中学生くらいまでの時期は、背たけも最も伸びる時期ですが、その期間に十分に身長が伸びるよう、9時間半程度の睡眠時間は確保したいものです。
思春期前後の子供は、クラブ活動や塾通いなどでただでさえ忙しいのに、今日では、ケータイでの子供同士のつき合いやテレビゲームの普及など、睡眠時間を削る要素もますます多様化してきています。
加えて夜遅くまで起きていると、どうしても夜食代わりにスナックやコーラ・インスタント食品などをついつい食べすぎてしまうために、肥満を助長し、ひいては背の伸びを妨げるマイナス要因がつみ重なっていくことになります。
親としては、幼少期から子供の理解度に応じて少しずつ、身長を伸ばすことの意味、そしてそのために必要なことと、生活習慣を整えていくことの大切さを、理屈として教えていくことが必要です。
ただ「いつまでも夜更かししていると、背が伸びないよ」「食べ過ぎるとメタボになるよ」だけでは、子供は心の底で納得せず、うわべを聞き流すだけに終わるでしょう。
親としても、子供の背を伸ばすことも、また肥満児にさせないようにすることも、子どもに対する教育の一環という認識をきちんと持って、子ども自身にそれをわからせるよう身をもって教えていくという心構えが必要だということです。